第5回 「Situations」を読む (2013年11月 22日)
 Education for Socially Engaged Art
 — A Materials and Techniques Handbook —

Ⅲ Situations  状況 (pp.27〜38) サマリー



ソーシャリー・エンゲイジド・アートが関わるコミュニティにはそれぞれ特有の社会的シナリオがある。その多様性を理解することがプロジェクトを成功に導くカギとなる。本章では、SEAプロジェクトで生じる典型的な状況について、著者は3パターンの架空なシナリオを想定し、プロジェクトを進める際にアーティストが直面するであろう葛藤とその対処について、シナリオごとにあぶり出していく。プロジェクトに対するコミュニティの期待や、アーティストがそれを認識した上で、いかに人びとの認識を変化していくことができるのか、対人関係の分析心理学、社会学の理論を援用しつつ読み解いていく。さらに、 ソーシャル・ワークとSEAの対人関係におけるアプローチの類似点と相違点をあげ、両者を同一化してしまう危険性を指摘しながらも、ソーシャル・ワークの実践からSEAプロジェクトを行う上でアーティストが学ぶべき点を明らかにしていく。

ディスカッション



【SEAプロジェクト始まり、成り立ちについて】
  • アーティストが対象コミュニティの課題を見極め、自身のプロジェクトのテーマとして取り組む意思を固める前に、早々とSEAプロジェクトを開始してしまうことは問題ではないか? SEAは何故行われるのか?そもそもその場(コミュニティ)に必要とされているのか熟考すべきなのではないか。
  • アーティスト側の課題として、自身の関心事を優先してプロジェクトを始める事が多く、コミュニティを最終的には利用してしまうケースも見受けられる。

    【コミュニティとの関係】
  • アーティストがコミュニティに寄り添い過ぎることも、乖離し過ぎることも良い結果にはならないだろう。日本におけるアート・プロジェクトは、前者であることが多いのではないか。

    【ソーシャル・ワークとの相違】
  • ソーシャル・ワークはそもそも自己表現を目的としていない。SEAはアートの表現行為であり、自己表現である。時には調和的な結果を求めるのではなく、社会的な批判性を持ち合わせるものだ。
  • 両者には類似点が多くあるが、むしろ違いこそが重要なのではないか?他の研究者や評論家らがSEAの特色をいかに捉えているか今後調査していく必要があるだろう。
    (モデレーター 工藤)

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