第7回 「Collaboration」を読む (2014年1月10日)
 Education for Socially Engaged Art
 — A Materials and Techniques Handbook —

V  Collaboration 協働 (pp.51〜57) サマリー

SEAにおいてアーティストはプロジェクトの概念的ディレクターであり、コラボレーションのあり方は通常アーティストによって設定される。アーティストと参加者の役割を考える際の重要なポイントはアカウンタビリティと専門性(専門的技術)であり、相互間の説明責任をきちんと認識する必要がある。それには、Pablo Freireの批評教育学が参考になり、それは「知らないことを教えるのではなく、彼ら自身の専門性を発見して、これから彼らが何を知る必要があるかを自身で決めるのを助けること」なのである。
 またテーマや構成について、初めから決められていない枠組みを提供する必要がある。それは、特定のイシューにまつわる新たな視点を生み出すための経験をもたらし、方向付ける枠組みを提供することである。そのためにOpen Space Technology(OST)(集団でのブレインストーミングのひとつの形式)が有効であり、グループの必要性や関心事を理解する上で非常に参考になる。

ディスカッション

  • 海外ではアーティストが主導して活動をはじめることが主流だが、日本の場合、行政や関係団体が枠組みや目的を予め決めてアーティストを招聘するというやり方が多い。
  • この差異よって、アーティスト役割、参加者との関係性が大きな影響をうけるといえるだろう。
  • 海外の場合は明確なイッシューがあり、それに向けて具体的な解決策を探ろうとする活動が多いといえるだろう。
  • グリーンズなどで紹介されている活動との違いは?ソーシャル・デザインとの違いは?
    アートである。

  • 著者はアーティストが主導してコミュニティに入っていく活動と、コミュニティからの要請で入っていっていっしょに考える、コミッションされるケースと両方あると述べている。
  • この場合の双方の説明責任と枠組みのつくり方には当然違いがでてくる。
  • 予め枠組みが規定されてなく、参加者とともに考える、というプロセスにもってゆくことが重要でありそうだ。しかし、実際問題参加者がそこまで能動的に参加する事例は少ないといえるだろう。
  • その意味で批判的教育学、OSTの手法は有効だし、アーティストが一方的にリードするような手法を回避するための考え方として、参考にすべきだろう。
    (モデレーター 清水)

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