ART & SOCIETY RESERCH CENTER

P+ARCHIVE

2018.06.21

[活動紹介|1]2015年度 現状調査の実施

過去に実施したインタビューでも課題などを伺ってきましたが、具体的に活動拠点であるアーカススタジオにはどのような活動資料が保管されていて、どれくらいのボリュームがあるのかはまだはっきりとは見えていません。そこで、まず資料が「どこに・どのように・どれくらい」保管されているのか、その全体観を把握するための「概要調査」を実施しました。

現状調査の実施

アーカイブ構築は、長期的かつ継続的な作業が求められます。その最初のステップとしてアーカイブ構築のために欠かせないのがこの概要調査です。アーカスプロジェクトの資料全体の現状をリスト化し「概要目録」の作成すること、そしてその調査に基づいてこれからのアーカイブ計画を設計していくこと。この二つの目的を果たすために実施しました。

概要調査は、次のような段取りで行いました。

  1. 資料を保管している棚ごとに調査用IDを付与
  2. 保管スペース全体の簡易スケッチ、棚の幅を計測、保管状態を写真撮影
  3. すべてのファイルを1点ずつ調査し、形態・サイズ・タイトルなどの情報を概要目録に記録
  4. 保管状態に問題がある資料がある場合、応急処置を取り目録に問題点を記録

調査から洗い出された課題点

作成できた約405件のファイルを登録した概要目録によって資料の「現状」を記録することができました。未整理の状態ではありますが、活動資料が散逸されることなく拠点とするアーカススタジオに保存されていることがはっきりと分かり、この貴重な資料をアーカイブしていくために概要目録を分析して、次のような課題を洗い出していきました。

[運営形態の変遷]
年度事業として実施してきているので、年度分類が明確。一方で長期の活動の中で外部組織への委託、ディレクター制度の導入など運営形態に変遷が見られる。
[希少な刊行物の在庫管理の必要性]
90年代の初期の活動期に発行された活動記録集は残部が少ないので、配布する際の管理のための在庫表の作成が必要。
[劣化しやすいフィルム資料の保管]
デジタルカメラが普及していない90年代の活動時期は、ネガフィルムで撮影された貴重な写真資料が多数あることが分かった。
[資料全体の収納量]
調査したファイルの厚みを合算して必要な収納スペースを割り出すと、現状の棚幅では十分ではないことが分かった。

このような課題を元に、次年度以降に実施していくアーカイブ構築の計画を組み立てていきました。