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P+ARCHIVE

2025.07.04

「FF RISING -フランクリン・ファーネス50周年記念にむけて-」の展示を見てきました


神宮前にあるギャラリー「360°‹神宮前›」で、展覧会「FF RISING ― フランクリン・ファーネス50周年記念にむけて」がはじまりました(会期:2025年7月4日〜19日)。オープンにあわせて、さっそく展示を見に行ってきました。

この展覧会は、ニューヨークを拠点に活動する「フランクリン・ファーネス・アーカイブ(Franklin Furnace Archive, Inc.)」が、来年2026年に50周年をむかえることを記念した特別展として開催されます。フランクリン・ファーネスは、1976年にアーティストのマーサ・ウィルソンによって設立され、移り変わりの激しいニューヨークのアートシーンの中で、常にオルタナティブなアーティストの活動を支え、パフォーマンスやインスタレーションの記録資料や、アーティスト・ブックを収集してきました。

今回の展示では、70〜80年代のニューヨークのアートシーンを感じさせるパフォーマンス記録写真、イベントのフライヤーやニュースレターといったエフェメラ資料、また活動の歴史を振り返る写真などが紹介されています。日本ではまだ知られていないフランクリン・ファーネス・アーカイブの活動に触れられる貴重な内容となっています。

ギャラリー内で上映されている映像では、ポンピドゥー・センターでの展覧会にあわせて収録された創設者マーサ・ウィルソンのインタビューを見ることができます(日本語字幕つき)。過去の活動に加え、現在のアーカイブのバックヤードも映し出されていて、フランクリン・ファーネスの「今」を感じられる映像です。

展示を見ながら、70〜80年代のニューヨークのアートシーンの空気を感じるような時間を過ごすことができました。かたちに残りにくいオルタナティブな表現を記録し続けてきた、フランクリン・ファーネス・アーカイブの強い精神を感じさせられます。そのパワフルな姿勢があったからこそ、ニューヨークの多様なアートシーンが支えられてきたのかもしれません。
アーカイブが持つ可能性やその意義について、改めて考えさせられる展示でした。

7月8日には、現ディレクターのハーレー・スピラーさんと、東京在住の美術史家エドワード・マドリード・ゴメスさんによるトークイベントも開催される予定です。
開館時間・アクセスなどの詳細は、ギャラリーの公式サイトをご確認ください。
http://360.co.jp/exhibition-jp/current-2/

[P+ARCHIVEディテクター井出]