多摩美術大学アートアーカイヴセンターで開催中の展示「AAC所蔵資料展7 三上晴子 没後10周年 三上晴子アーカイヴ 活動年表資料展」を見に行ってきました。
この展示は、2015年に急逝したアーティスト三上晴子さんの活動年表の制作にあわせて整理された貴重な資料群を公開するものです。メディアアートやインスタレーションなど、幅広い領域で活動した三上さんの軌跡を、キャリア初期から晩年までたどることができます。
展示では、作品や展示に関するフライヤーやリーフレットなどのいわゆる「エフェメラ資料」が中心となっています。三上さん自身が資料を丁寧に整理・保管していたそうで、記録や情報を残すことに高い意識を持っていたことが印象に残りました。展示資料には、手書きのアイディアスケッチなど制作プロセスが伝わる資料も含まれていて、作家の思考の軌跡に触れることができます。
資料を通じて、時代ごとのテクノロジーや社会の動きに反応しつつ、記録や情報に対する本質的な課題をとらえる、三上さんの一貫した制作姿勢が伝わります。アーカイブを通してキャリアを読み解くこの展示は、回顧展や書籍とは異なる角度から三上晴子というアーティストを捉え直すことができます。
また、会場で配布されている展示リストや、ウェブサイトで公開されている「活動年表のプロトタイプ」もあわせて見ることで、資料が持つ背景や文脈がより立体的に感じられました。このような資料群のコンテクストと合わせた鑑賞方法も、アーカイブが持つ可能性の一つと言えるかもしれません。
AAC所蔵資料展7 「三上晴子アーカイヴ 活動年表資料展」
会 期:2025年6月23日(月)–7月20日(日)
会 場:八王子キャンパス アートテーク2F アートアーカイヴセンターギャラリー
https://aac.tamabi.ac.jp/research/exhibitions/mikamiseiko_1.html
[P+ARCHIVEディテクター井出]