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2026.01.09

ビジネスアーキビスト研修講座を受講しました

2025年10月に一般社団法人企業史料協議会が主催する「第30回ビジネスアーキビスト研修講座」の基礎コースをオンラインで受講しました。

最近の活動として、アート団体における特に組織アーカイブズについて、先行事例を調査していましたが、なかなか情報に辿り着けないと感じていました。そこで、アートに関わらず他の分野におけるアーカイブズの取り組みから何かヒントを得られないか探していたところ、こちらの講座に出会いました。今回で30回目という歴史を持つ講座です。

− 講座について

「企業史料協議会は、経営史・企業史の研究およびその成果としての出版等を目的とする(一財)日本経営史研究所(1968年創立)、図書館、学会および企業関係者によって、1981年11月5日に設立されました。」(企業史料協議会ホームページより)ということで、ビジネスアーキビスト(企業史料管理者)養成のための活動にも長年取り組まれています。

基礎コース4日間のカリキュラムは以下のとおりでした。

第30回ビジネスアーキビスト研修講座(ハイブリッド開催)
1. 10/1「アーカイブズの意義とアーキビストの役割」
講師 学習院大学文学部教授 保坂裕興氏
2. 10/3「日本企業の経営発展と企業史料」
講師 大阪大学名誉教授・企業史料協議会副会長 阿部武司氏
3. 10/16「社史とアーカイブズ概論」
講師 国際大学学長・国際経営学研究科教授 橘川武郎氏
4. 10/24「デジタル文書と企業アーカイブズ」
講師 麗澤大学名誉教授 佐藤政則氏

定 員:会場 15名、オンライン 30名 (いずれも先着順)
会 場:東京大学本郷キャンパス経済学研究科学術交流棟・小島ホール
https://www.baa.gr.jp/news.asp?NoteAID=14

4日間を通して、アーカイブズの語源から、デジタル資料の管理についてまで、組織アーカイブズを検討していく上で、考え方を整理するために知っておきたいことを幅広く学ぶことができました。
古くは明治期前後から続く企業で、長年保管されていた資料のアーカイブズに取り組まれたお話や、企業からの依頼で数々の社史の執筆に携われた際のお話など、講師の先生方の実際の体験談も大変興味深く貴重な機会となりました。

印象に残ったこととして、企業におけるアーカイブズは、必ずしも外部への公開を前提としていないため、公文書等のアーカイブズと考え方が少し異なるということです。企業(組織)にとって重要な資料が何かはそれぞれの組織によって変わり、それを残すか残さないか(アーカイブズにするかどうか)についても、組織の考え方次第となります。そのためアーカイブズの意識やノウハウが社外や社内においても共有されにくい状況が続いていることが窺えました。
一方で近年は社史をデジタルで刊行する企業も増え、社史編纂の過程で収集した資料がデジタル化されることで、社内で活用しやすくなったという事例紹介もありました。これから企業においてアーカイブズに対する意識が向上していくのではないか、という期待が持てる段階でもあるようです。

− 社史について

オンライン上ではありましたが、普段は接することのない様々な分野の企業からご担当の方が参加されていることを知りました。主に社史編纂を担当されている方が多かった印象で、「社史」について改めて認識を深める機会にもなりました。
講座の中で、社史の厚さ、重さが話題に上がっていたこともあり、実際に手に取ってみたいと思っていたところ、神奈川県立川崎図書館で「社史フェア」が12月に開催されることを知り、足を運んでみました。

− 神奈川県立川崎図書館「社史フェア2025」

毎年12月に、前年度に刊行された社史が展示されるようです。今回11回目ということで、いただいた小冊子によると、2024年に刊行された198社の社史が展示されていました。
県立川崎図書館では普段でも社史のコレクションを書架から閲覧することができ、新着のコーナーも設けられていました。詳しくは県立川崎図書館のホームページに社史コレクションのページがあります。

写真(上):県立川崎図書館 館内の様子 ※許可をいただいて撮影

 

今回の学びを、アート・アーカイブの取り組みにおいても参考にしていきたいと思います。

[P+ARCHIVE 川口]