
2025年は「AI元年」と呼ばれるほど、AI技術の利用が急速に普及しました。このような状況を背景に、アーカイブの現場においても、その活用可能性や影響への関心が高まっています。
例えば、今回の勉強会で紹介いただいた国際的協働研究プロジェクト「インターパレス・プロジェクト(InterPARES)[1]」の第5期プロジェクト「ITrust AI」では、AI技術に関する教育モジュール[2]が公開されています。そこでは、AIが大量のデータを迅速に処理できる点や、画像認識・音声認識といった技術の応用可能性が示されています。一方で、AIの専門家と協働するためには、アーキビスト自身がAIモデルについて理解することが不可欠であることも指摘されています。
急速にデジタル化が進む社会においては、アーキビストをはじめアーカイブに関わる人々に対して、自らの業務プロセスにAI技術を取り入れる柔軟性が求められるようになっているのかもしれません。
AI技術が私たちの生活の中で身近なものとなるなかで、アーカイブ実践においても「AIツールをどのように活用できるか」が日常的な話題として取り上げられる機会が増えてきました。
こうした状況を踏まえ、AI技術に関する概念的・倫理的な課題を捉え直し、理解を深めることを目的として、このテーマについてカジュアルに話し合える場として「AIとアーカイブ勉強会」を立ち上げました。
これまでの活動を通じて関わりのあった方々に声をかけ、AI技術に詳しい実務者と、現場で課題に向き合うアーカイブの実践者が集まりました。参加者がそれぞれの知見や経験、課題意識を持ち寄りながら学びを深める場となることを目指しています。勉強会メンバーは以下の7名で集まって開催しています。
勉強会で重視しているのは、進歩するAI技術に受け身で向き合うのではなく、実際の業務の中でどのように活用できるのかを具体的に考え、手を動かしながら理解を深めていくことです。
特に、私たちがP+ARCHIVEの活動でこれまでも支援してきた中小規模のアート団体における活用可能性は鍵となる視点の一つです。こうした組織では、限られた人員と時間の中でアーカイブを構築・維持する必要があり、その負担は決して小さくありません。
AI技術は、記録整理やメタデータ生成などの補助的ツールとして実務を支えるだけでなく、映像・音声・身体表現といった従来扱いの難しかった資料を、どのように記述・検索・再利用可能にするかという、新たなアーカイブ方法論にも関わり始めています。
この勉強会では、「AIをどのようにアーカイブの実践に活かせるのか」という共通の問いを軸に、OCR、映像解析、メタデータ生成など、実際のアーカイブ資料を対象とした試行や検証も行いながら、AI時代における新たなアーカイブ実践のあり方を模索しています。
2025年8月から開始し、現在は2か月に1回程度のペースで集まり、対話と実践を継続しています。
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[P+ARCHIVEディテクター井出]