ART & SOCIETY RESERCH CENTER

P+ARCHIVE

2012.06.13

P+ARCHIVE2012 第2回レクチャー 「アーカイブすること」報告

2012年6月6日、アート・ドキュメンテーション学芸会員の筒井弥生さんによる「アーカイブすること」についてのレクチャーがありました。

まず、アーカイブズという言葉の定義について。
archiveは動詞ですが、米国国立公文書館の定義では複数なのか単数なのかわからない表記をしていたり、日本アーカイブズ学会がアーカイブズと定義していても、NHKが「NHKアーカイブス」という番組を製作・放送した為に「アーカイブス」という言葉が世間では定着していることなどを知りました。
アーカイブズ・アーカイヴ・アーカイブス・アーカイブ。まだ言葉の表記すら日本では定着していないのです。
そしてJSAS(日本アーカイブズ学会)、NARA(米国国立公文書館)、ICA(国際文書館協議会)など様々な団体があること、2006年に外来語言い換え提案、2008年に学習院大学大学院でアーカイブズ学が開講、2010年に世界アーカイブ宣言というように少しずつ「アーカイブ」という言葉が世間に認知されてきた動きについてお聞きしました。

アーカイブズとは記録資料そのものを指し、機関・組織を示すものであり、収集すること、専門職を養成すること、収蔵施設や文書館のことでもあります。
過去の出来事のかけがえのない証拠であり、民主主義を支え、個人及びコミュニティのアイデンティティ、そして人権を擁護するものです。
どんな国もきちんとしたアーカイブを持つべきであり、記録を選んで、保存して、公開することが大切なのです。

次にアーカイブズの歴史について。
アーカイブズの語源はギリシア語のアルケイオン。古代メソポタミア、ギリシア、アレキサンドリアから中世ヨーロッパ、近現代、日本での記録史料や文書館についての歴史をお聞きしました。

その後、公文書管理法と国立公文書館についての説明があり、公文書館の紹介ビデオを見ました。(この映像はWebでも見る事が可能ですので、是非長いバージョンを御覧下さい。http://www.archives.go.jp/index.html

次にレムケ他「アート・アーカイブズ<全訳>」による6つのカテゴリー分けとそれについての参考文献を教えて頂きました。
また海外のアート・アーカイブについての事例の紹介があり、韓国のアート・カウンシル、ARKO アート・センターの写真を見せて解説して頂きました。
韓国とカナダとオーストラリアは電子記録にとても強いそうです。

アーカイブするには長期間保存するための保存措置が必要です。
この後、特に留意しなければ行けないこと(年月日の表示、保存に適した文房具、紙、インク、電子記録のバックアップ)の説明があり大変参考になりました。

最後にアーカイブに関するリンク集の利用法について紹介がありました。
まず使ってみること。そして追加する情報があったら是非知らせて欲しいというお話があり、レクチャーは終了しました。

以上

(P+archive受講生 村木恵里)