ART & SOCIETY RESERCH CENTER

P+ARCHIVE

2012.06.20

P+ARCHIVE2012 第3回レクチャー
「プロジェクト進捗管理とレコード・マネジメント」報告

6月13日のレクチャーの様子

6月13日、レコード・マネジメントコンサルタントの齋藤柳子さんをお迎えして、第3回レクチャー「プロジェクト進捗管理とレコード・マネジメント」が開講されました。

まず、レコード・マネジメントを始める前に必要な事として組織体制とプロジェクトの流れの確認についてお話を頂きました。
プロジェクトの現場では日々様々な場所で様々な記録が生まれています。各部署の機能を把握し責任の所在を明らかにすることは、アーカイビング実践の上でも重要なことです。レクチャーでは、アートプロジェクト運営ガイドラインに沿ってアートプロジェクトの具体的な流れ等を説明して頂きました。

次に、レコード・マネジメントおよびレコードキーピングについて図解を交えてご紹介頂きました。
既に発生した文書の保管管理であるファイリングシステムとは違い、レコード・マネジメントは記録の発生から廃棄に至るまでの流れを組織的に管理する仕組みです。具体的には、記録の発生→伝達→活用→保管→保存→廃棄という流れになります。また、以上のように管理保存された資料を評価選別し、歴史的資料となるものを保存・公開することがレコードキーピングです。レコード・マネジメントからレコードキーピングをうまく機能させるには、各段階における組織内での共通のルールが重要になってきます。

そこで、レコード・マネジメントからレコードキーピングを行うためのルール設定について、7つのポイントに絞ってご説明頂きました。
記録の分類法、管理部署の設定や保存期間、レコードキーピングのための評価選別など、組織内で共有するべきルールは多岐にわたります。そこで、共通ルールとして上記のポイントを網羅したリテンション・スケジュール表についても説明して頂きました。具体的には、各記録についての分類や作成部署、日付、保存部署や保存年限を記入していくものです。ポイントは、記録名、作成年月、作成者名等の基礎的なデータは、記録発生時にその都度必ず作成者が入力することだそうです。「面倒臭くても、習慣になってしまえば問題ありません」と齋藤先生。日比野さんが初回レクチャーでおっしゃっていたように「アーカイビング体質」になる必要がありそうです。

ラベルへの記入方法を練習

最後に、理解を深めるための練習問題を出題して頂きました。
用意して頂いたリテンション・スケジュール表案を基に、紙媒体保存用の個別フォルダへ必要な情報を記入していきます。どんな文書かを表す「3要素」についてリテンション・スケジュール表のどの項目が該当するのか、保存期間、移管・廃止実施年月についてどう考えればいいか、実際にやってみることで受講生同士の認識を共有することができました。

難しいお話もありましたが、実践に必要な具体的なヒントをたくさん頂きました。最初に「レコード・マネジメントはどんな職場、組織でも活用できる技術です」、とお話しされていた通り、普段の生活でも応用できそうなポイントも多くありました。積極的に実践して、理解を深めていきたいと思います。

以上

(P+archive受講生 三宅さき)