ART & SOCIETY RESERCH CENTER

P+ARCHIVE

2022.04.28

収録レポート|レクチャー・シリーズ Vol.3|
記録にかかわるリスクとの向き合いかた


(※動画はレクチャーパートのみ公開)

レクチャー概要

[P+ARCHIVEレクチャー・シリーズ Vol.3]
記録にかかわるリスクとの向き合いかた

日 時:2022年3月18日(金)18:30〜20:00
講 師:齋藤柳子(レコード・マネジメント&アーカイブズ構築コンサルタント、記録の森研究所 代表)
     平野泉(立教大学共生社会研究センター アーキビスト)

今回のレクチャーでは、レコード・マネジメントの専門家である齋藤柳子さん、アーキビストの平野泉さんをお招きして、お二人のそれぞれの観点から、記録にかかわるさまざまなリスクとの向き合いかたについてお話いただきました。

レコード・マネジメントの観点から

資料のライフサイクルに合わせて、最初に齋藤さんからレクチャーいただきました。
レコード・マネジメントとは組織が記録を効率よく運用することであり、アート・プロジェクトのように少人数のチーム(組織)で行う活動でも取り入れることができます。
その「効果」の一つに挙げられる「リスク管理」について、「業務プロセスの可視化」「内部統制のための文書化」そして「情報セキュリティのルール設定」という3つのポイントから具体的な事例を交えてご提示いただきました。
さらに、リスク対応の補償を考えるとき「アーカイブズ保険」は現状では見当たらないというお話から、価値の定まっていないアート・プロジェクトの保険適用についても話題が広がりました。

アーカイブズのリスク

続いて平野さんからは、アーキビストとして勤務されている立教大学共生社会研究センターでの活動をご紹介いただきながら、ご自身が考えてこられたリスクについて語っていただきました。
まず、そもそもリスクとは何か?という問いから、ISO(国際標準規格)の「リスク・マネジメント」を読み解き、考え方を示していただきました。そこから、何がアーカイブズのリスクになりうるのか?という「リスク源」に焦点を置いてお話いただきました。
これからの課題として、AIを取り入れたボーンデジタル資料の処理や、目録に使われてきた文言を現在の倫理観に則した表現へ書き換えることが進んでいるアメリカの事例にも触れられています。
※ ISO31000:2018 Risk management-Guidelines / JIS Q 31000:2019 リスクマネジメントー指針

レクチャーを受けて

レクチャー後は、忘れられる権利へのアーカイブズの取り組み方など、参加者の皆さんからお寄せいただいた質問にお答えいただきながら、ディスカッションしていきました。

大きなテーマをお二方には大変わかりやすく内容濃くまとめていただきました。普段の業務を見直すきっかけにもなり、記録にかかわるリスクについて身近に整理して捉えることができると思います。ぜひ多くの方に収録動画をご覧いただき、議論を深めていきたいと願っています。