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2021.06.08

活動紹介05|アーカイバル・グレードの資料保存

100年を超える歴史を持つコトブキ・シーティング社には、会社創立当初の資料や戦前、昭和初期の資料など、作成されてから50年以上経っている歴史的価値の高い貴重な資料も多く残されていました。
全体的に資料の保存状態は良好であるものの、作成から長期間が経過した資料は紙そのものが酸化するなど劣化が確認されました。このような作成から時間が経った貴重資料を中心に、劣化の進行を抑え長期保管に適した収納方法を検討しました。

中性紙製のアーカイバル容器

長期保存に適した中性紙で作成されたボックスに資料を収納することで、さまざまな劣化の要因から資料を守ることができます。一方で一般的に普及しているボックスよりも高額になるため、全ての資料を中性紙ボックスに収めることは現実的ではありません。今回は、アーカイバル容器の制作で実績のある株式会社資料保存器材に相談しました。資料ごとに保存品質を検討し対象をリストにまとめて、特に重要な資料のみ選別して保存容器の発注をしました。

納品時の記録。預かり証を取り交わし資料を預け、受け取り時には事前に作成したリストと照合確認。


それぞれの資料にぴったり合う専用容器を制作。取り扱いをガイダンスしていただく。


アルバムなど冊子状の資料は、ページごとに間紙を挟み資料の表面を保護する。

写真資料はアーカイバル・バインダーへ収納

50〜60年代の納入事例を中心に、昭和初期のものを含む貴重な写真が多数残されていました。一部の写真には銀化(劣化し写真表面に銀が露出する現象)が見られ、写真が重ね合ってアルバムに収納されている、といったように保管方法を改善する必要が出てきました。写真リストを作成して具体的な枚数を集計することで必要なバインダー数を割り出しアーカイバル・バインダーを発注しました。
写真そのものはPAT規格(写真の長期保存の基準を定めた国際標準)に準拠したスリーブに入れてバインダーに綴じていきます。重複する写真などはポケットに合うサイズで作成した間紙を挟んで同一ポケットに収納しました。

納品時にバインダーの取扱方法をガイダンスしていただく。


収納作業の経過。元の順番を維持したままバインダーに移し替える。


収納作業の経過。バインダーごとに整理IDを記録し、収納棚に仮置き。